2024年08月10日

更年期からの対策がおススメ!女性の「骨粗しょう症」

 骨粗しょう症は「骨強度の低下を特徴とし、骨折のリスクが増大しやすくなる疾患」です。骨密度(骨の単位面積当たりの骨塩量)が低下したり、骨質が悪くなって骨強度が低下すると、転倒やくしゃみなどの衝撃で骨折しやすくなってしまいます。

 国内ではその病人数(腰椎又は大腿骨頸部で起こった骨粗しょう症)は男性300万人、女性980万人と推定され、特に女性では閉経後に急激に骨密度が下がるため50代以降に発症しやすく、年齢と共にその発生率は著しく増加していきます。

骨粗しょう症のメカニズム

①骨の新陳代謝のバランスが崩れる

 人の体内では、生まれてから生涯にわたって、骨吸収(破骨細胞による古い骨の吸収)と骨形成(骨芽細胞による新しい骨の補充)を図のように繰り返しますが、一連の骨の新陳代謝機構を骨リモデリングと呼びます。正常に骨リモデリングが行われている時は、骨吸収されると同じだけ骨形成が起こり、新しい骨が補充されますが、加齢や閉経などで骨リモデリングのバランスが崩れると骨量が減少し、強度を保てなくなっていきます。特に閉経後の女性では、骨を吸収する破骨細胞の働きを抑制してくれるエストロゲンの分泌が減るため、急激に骨の量が減少してしまい、骨粗しょう症のリスクが高くなるとされています。

②骨の新陳代謝の頻度が異常亢進する

 骨形成で新しく補充された骨は、その後さらに石灰化が進んでいく事で、徐々に強度が上がっていきます。しかし甲状腺機能の亢進や自己免疫疾患などで長期のステロイド治療を行っている場合などは、破骨細胞の機能が増強され骨リモデリングの頻度が亢進することで、石灰化が不十分で強度が上がらないまま新しい骨に代謝されてしまい、骨粗しょう症が進行していきます。

③運動や食事などの生活習慣に関わる原因

 骨は約70%がリン酸カルシウム、残り30%がコラーゲンからなりますが、骨の原料となるカルシウムや、骨の代謝に関わるビタミンDなどが不足すると骨粗しょう症の原因となります。調査によるとカルシウムの平均摂取量とビタミンDの血中濃度は平均的に不足しているといわれています。年齢を重ねることで筋力が低下し、外出が減ることでさらにビタミンDの血中濃度が低下しやすく、運動量が減って骨に負荷がかからないと骨が弱くなっていく一因になります。

骨粗しょう症の治療・対策

 医療機関では骨粗しょう症の治療薬として、骨吸収を防ぐお薬、活性型ビタミンD剤、エストロゲンを調整するSERM,半年に1回の注射で治療を行うデノスマブという新薬などもが使われています。骨密度の低下が大きい場合には、このようなお薬で失われた骨密度を取り戻すために必要になってきますが、骨蜜度を維持するよりも、失われた密度を取り戻すのはかなり難しく、女性の場合は更年期前ぐらいから対策を始めておくことが効果的です。骨量は20歳くらいでピークとなり、40代くらいまで維持され、その後徐々に減少していきますが、若年期の最大骨量が高いほど、年齢を重ねて骨が減少しても骨粗しょう症になるまでの期間が長くなるので、将来の骨粗鬆予防に役立つと言われています。40代までの間にミネラルやアミノ酸をバランスよく取り適度に運動を続けていると、骨粗鬆になるリスクを下げることが出来ます。

漢方薬が骨粗しょう症にお役に立てる事

 更年期にホルモンのバランスの変化から、急激に骨粗しょう症が進みやすいことから、漢方薬の「腎虚」に良いと言われる処方は、骨粗しょう症の進行を遅らせるのに役に立つと考えられます。「腎」とは西洋医学で言う、腎臓ではなく、泌尿器系、生殖器系を指しています。要するに老化に伴う衰えに関係しているのが、漢方で言うところの「腎」になります。ですから更年期から腎虚に良いと言われる漢方薬を飲んでいくと、ホルモンの急激な変化を和らげてくれます。骨粗しょう症はエストロゲンが深く関与して進行速度が速くなっていきますので、腎を補う漢方薬を更年期頃から服用していくと、骨粗しょう症や老化に関わる症状を和らげてくれます。

 また、漢方薬原料の「反鼻」という生薬は滋養強壮はもちろん、身体や骨を作っていくアミノ酸、カルシウムなどの栄養素が豊富に含まれています。実験によると、反鼻を含む漢方薬が骨粗しょう症の改善に効果が出ていることが実証されています。ホルモン剤を投与されたラットと比べてそん色なく骨粗しょう症を改善していたという事です。

 骨粗しょう症、またそれに伴う骨折は生活機能、QOLを大きく低下させるため、高齢化が進む現代では、是非対策をしていきたい病気です。閉経後の骨量の低下の予防をし、出来るだけ早いうちから維持することをお薦めします。

 更年期が近づいたら、少しずつ腎を補う反鼻を含む漢方薬を取り入れていただくと、骨粗しょう症の予防になるだけでなく、老化を遅らせるお手伝いもできます。さらに美容の面でも効果が期待できます。更年期後の豊かな人生のために、是非漢方薬をお役立てください。