2024年03月30日

めまいや不眠、胸のざわつき、心の不安定を引き起こす春の季節

 春になると、なんだか寝つきが悪くなったり、めまいや耳鳴りのご相談が増えて来ます。春に現れる症状としては「発熱、のぼせ、のどの渇き、頭痛、動悸や胸のざわつき、イライラ、不安感が胸に押し寄せてくる」などが挙げられ、お客様によっては、更年期かしらとご相談に来店される方もあります。春は急に暖かくなったり、また寒い日が何日か続いたりと不安定な気温の変化があり、冬のあいだに寒さに備えていた身体が急に対応を求められるため、自律神経に変調をきたしやすくなります。

 また春は漢方では「肝」の季節と言われ、自律神経の調整や血の貯蔵、循環、解毒に関わっています。この肝は解毒をする臓器ですから、春には蕁麻疹が出やすかったり、鼻炎、皮膚炎などの炎症の症状が出やすくなります。これは肝が冬にため込んだ異物や老廃物を解毒、排泄しようとしているために起こります。そのため、春は肝に負担がかかる季節と言えます。

「肝」はストレスや感情の調整機能も担っています。負担がかかりやすい春の季節にはストレスに敏感になったり、普段よりもなんだかイライラしたりと、「肝」の弱い人は春になると怒りっぽくなったりします。自分では気が付かないことが多いですが、お酒をよく飲んで肝機能数値が少し異常な人は、怒りっぽくなっている人があるので要注意です。また、春には肝に負担がかかる影響で、なかなか眠りにつけない、眠りが浅くて夜中に何度も目が覚める、などの不調が現れやすくなります。

 また、血を蔵し、循環させる働きのある「肝」ですから、春になると血が頭に上りやすく、めまいや頭痛の苦情を訴えられる人も増えて来ます。それに伴って目の充血、耳鳴り、鼻炎、心悸亢進、ノドの痞え感、などの症状も現れてきます。このような症状は肝気の上昇とともに、胃腸の不調からの胃内停水も原因の一つになっていることが多いです。

 春の養生としては、「肝」の働きを助けるために、「苦味」のある食材を摂ると良いと言われています。この季節に旬を迎える苦味のあるタラの芽、フキノトウ、などは苦味が消化を促し、肝気の上昇による熱を冷まし、解毒を助ける作用があります。しかしタケノコや、ワラビなどのあくの成分は解毒を助けますが、皮膚の炎症がある人は、皮膚からの排泄を助けるため炎症が強くなるので控えることをお薦めしています。皮膚の症状がない人は適量取り入れることで、解毒を助けて身体がスッキリします。旬の食材はどんな季節でも、身体のバランスをとるのに助けになります。

春におススメの食材としては

気を巡らせる食材の紫蘇、ハーブティー(ミント、カモミール、ラベンダー)ウコン、また肝の働き助ける緑の野菜、ブロッコリー、アスパラガス、セロリ、金針菜、タラの芽、菜の花などの季節の野菜がおススメです。血を蔵す肝を補うために貧血を防ぐ食材は大切で、黒豆、人参、ホウレン草、イワシ、さば、あなご、イカ、レバーなどアミノ酸や鉄分を含む食材も役に立ちます。

気の養生が大切なこの季節

 ストレスを上手に発散することが春の養生で最も大切です。家にばかり居ないで、外に出かけましょう。散歩や山歩き、「趣味に没頭する」「友人とのおしゃべり」「好きな音楽や映画を聞いたり観に行く」また、ハーブティーやアロマを取り入れて香りでリラックスするのは案外効果があります。

春の自律神経の不調には「柴胡」

 春の自律神経の不調には柴胡という生薬が配合された漢方薬がおススメです。代表的な処方には柴胡桂枝湯、柴胡加竜骨牡蠣湯、加味逍遙散などがあります。現代人は胃の不調を合わせて持っている人も多いので、胃の事も考えた補中益気湯なども柴胡剤の一つとして選んでいきます。その一方で、アレルギーなどの炎症の症状があったり、イライラ感が強い方には柴胡清肝湯などもお勧めです。それに加えて胃酸の分泌も増加してくるこの季節には、牡蛎や竜骨が役に立ち、胃の働きを整えるとともに動悸を鎮め、鎮静の働きがあり、不眠の改善にも良いので、自律神経のバランスをとっていくのに大いに役立ちます。

 春のアレルギー、自律神経の不調による気分の変調、めまい、頭痛、動悸などにお悩みの方は、春の養生とともに漢方の力を是非お試しいただきたいと思います。お気軽にご相談ください。

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