2024年06月08日

梅雨の季節に頻発する片頭痛や緊張性頭痛

 梅雨の季節や低気圧が張り出した雨の前日に、頭痛が起きる人は少なくありません。特に片頭痛をお持ちの方はこれからの季節が辛い季節になります。雨の前になると肩から首にかけて重く何かがのしかかるような感覚があったり、吐き気を伴う頭痛が起こる方もありますね。どうして悪天候になると頭痛が起こるのでしょうか?

低気圧によって起こる頭痛のメカニズム

 片頭痛の場合、頭のこめかみを中心にズキズキと激しい痛みがあります。片頭痛ははっきりと発症のメカニズムがわかっていませんが、一般には血管拡張が原因の一つと言われています。低気圧になると、普段よりも身体に気圧がかかっていない状態なので、血管は拡張すると考えられます。脳の血管が拡張すると血管周囲に網目状に張り巡らされた三叉神経が刺激され、炎症物質を放出し、血管に炎症が生じます。これにより神経が興奮して痛みが発生すると考えられています。気圧の低下は大きな引き金となります。その他目の疲れ(光刺激)精神的ストレス、過労、不眠、人ごみのストレスなどにより症状が発現しやすくなる、又は発症頻度が高くなります。

 緊張性頭痛の場合は、神経の伝達物質である「セロトニン」の分泌量が関係していると言われています。低気圧になると、体内でセロトニンの分泌量が不安定になります。セロトニンは大量にあると脳の血管は収縮します反対にセロトニンが不足すると脳の血管は膨張すると言われています。こうなると血管を取り巻いている神経が興奮して痛みを起こします。

どちらも血管の拡張が大きくかかわっているようですね。

 また、男性と比較して、女性の方が低気圧で頭痛など、体調を崩す人が多い傾向にあります。これらの症状は自律神経が大いに関わっているためでしょう。女性は月経周期によりホルモンバランスが変化するため、ホルモンバランスと自律神経とは深い関りがあるために、起こりやすいと言えます。

片頭痛や緊張性頭痛と漢方薬を考えてみる

 一般的に、頭痛と漢方薬というと調べてみると、呉茱萸湯、五苓散が出てきます。確かに、頭痛が起きそうなときにこの二つの漢方薬を服用すると、和らぐことが多いかもしれませんが、この二つの処方は長く服用して、片頭痛や緊張性頭痛を改善する漢方薬とは言えません。漢方薬にも体質改善を目指すものと、五苓散や葛根湯などのように、対症療法的な漢方薬もあります。肩こりからの頭痛にと、葛根湯を毎日服用していると、交感神経を刺激して血圧が上昇したりします。漢方薬は、専門家に相談して長く飲んでもよいものかどうかを確認して服用してください。体質に合っているかどうかの判断も、案外難しいので、漢方薬を専門にしている医師や薬剤師、登録販売士に相談してから服用する方が安心です。漢方薬を専門にしているかどうかの見極め方は、身体の様子を漢方的な観点からみてもらえるかどうかという点です。漢方薬は陰陽虚実の判断が重要です。漢方的な判断をするためには、その方が、虚弱であるのか実証であるのか、又冷えているか、熱を持っているか、又は血液の状態が虚しているか、瘀血の状態が強いかなどの判断のための質問を、時間をかけて聞いていきます。病名だけでは漢方薬の選薬はできないのです。

 片頭痛や緊張性頭痛は漢方では、気、血、水(津液)の流れを改善することで、治療していきます。気の流れはストレスに大きく影響を受けますし、脳の血管の拡張はその中に流れる血液や津液の量と大きく関りがあります。また、神経が刺激を受けて炎症物質を放出していると考えられますので、身体の上部には熱を持っていると考えられます。生理周期に伴って規則的に発症するようでしたら、瘀血の状態を改善する必要があります。胃腸が弱っている状態の人は「痰飲」と言って胃の中の水分がうまく代謝されず、身体の上半身に水滞がおこり、血管も拡張しやすくなっているので頭痛も起きやすくなります、「痰飲」のある人は胃腸の状態を改善することが不可欠です。そのような人は「脾虚」と言って、根本的に胃腸の働きを良くして、「気」から「水」の流れを改善することが重要です。

釣藤鈎という生薬について

私は頭痛でお困りのお客様に釣藤鈎という生薬の配合された漢方薬をお飲みいただく事も多いです。釣藤鈎はカギカズラの刺を乾燥したもので、カギのような刺がついているのでカギカズラと呼ばれるようです。この生薬の働きは自律神経の亢進をわずかに緩めるらしい。肝臓に関する自律神経の亢進を鎮める、すなわちいろいろのストレスに刺激されて、肝臓に関する自律神経が亢進し、「イライラ」してくるときに、この釣藤鈎がこの気ののぼせを引き下げる働きをして、気が静まるのだと言います。この釣藤鈎に四物湯である当帰、芍薬、センキュウ、地黄(少量)を加えることにより血流、ホルモンのバランスを改善し、黄柏が頭部の熱を冷まし、さらに白朮、ブクリョウ、黄耆などの生薬を使って、水滞を改善しながら頭痛を起こさないための体質改善を目指していただきます。その方の体質によって合わせる処方は変ってきますが、自律神経のバランスを取りながら、血流を改善していく事が大切と考えています。

30代女性最低血圧が高く毎月の片頭痛に悩まされていた方

 当店の長いお客様の一人で、毎月、吐き気とともに激しい片頭痛に悩まされていた30代の女性。最低血圧も少し高く、見た目も少しむくみがちなお客様でした。釣藤鈎を含む漢方処方と「水滞」を改善する漢方薬を服用され、2か月くらいで片頭痛が起きなくなり、、最低血圧もすこし落ち着いてきました。調子が良いと忘れがちですが、この漢方薬を続けていると頭痛からは解放されると言われます。梅雨の時期は忘れずに服用する様にお話ししています。そうすると元気に過ごせるとのこと。

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